
★ 繁殖から訓練までのスケジュール ★
☆ 鳥猟犬の訓練は産箱!厳密には繁殖犬の選択から始まります。
さて鳥猟犬は産箱から始まると申しますが厳密には繁殖用の台牡と台牝の選択から始まります。
では何を基準に選べば良いのでしょう。
私は綿々とNationalChampionを獲得しながら半世紀以上系統繁殖に成功して現存している系統の直系を選びます。
特に実猟犬はスタミナつまり心配の強い系統で無くてはなりません。
その強靱な心肺は牝犬からでなければ遺伝的に引き継ぐ事が出来ません。
換言すれば牡犬の強靱な心肺の強さは遺伝的に引き継ぐ事は不可能です。
また短い一生を共に過ごす鳥猟犬はフィールド・トライアル(競技会)でも勝利可能な系統で見た目にも楽しく最も鑑識眼のあるスポーツマンを満足させる必要な全ての特質を持つものでパフォーマンスでも傑出したもので何年も評判となる体構と特質を持ちスポーツマンが何世代も越えて誇りに出来る系統が望ましいのです。
さて私はエルフューポインターを選びました。
その理由を補足すれば基礎犬の先祖がアオア系で日本キジを狩る能力を持つ系統です。
その血脈は半世紀(59年)以上経ても失われていない事を1,995年にエルフュー・トムフールが証明しました。
日本キジを求める鳥猟犬の能力を極限まで追求するならば生後90日~120日迄には日本キジに対してボディーポイントが出来る様になっていなければなりません。
ポイントした前方数メートル以上先にキジが居たなどと言う事の無いように心がけなくてはなりません。
その為には適切な「鼻入れ儀式」が大切です。
しかし「鼻入れ儀式」から野生の日本キジへ当てる前に「産箱から始まる基礎訓練(これは繁殖者の全面的責任です)」が出来ていなければ猟欲と共に暴走犬(Darby
Broke)になり血統が良くても使い物になりません。
余談ですが日米問わずこれ等の基礎的訓練テクニックが理解出来て居ないのでエルフュー系統は名前だけ先走りして特に日本において有名で人気の有るエルフュー系統繁殖の犬舎は聞いた事がありません。
子犬が生まれて日本キジ猟犬としての基礎訓練はわずか120日以内であっと言う間に過ぎ去ります。
しかもその中の30~90日は繁殖者の元で育ちます。
オーナーが行う基礎訓練はわずか30日~90日です。
ちょっと前置きが長くなりましたが予備知識として大事な事ですのでしっかり理解して下さい。
それでは本題の繁殖~日本キジ当て迄のスケジュールを箇条書きにします。
各詳細については別途項目ごとに解説致します。
★ ワクチンや虫下しは慣習で投与するのでは無く信頼できる獣医師に相談しましょう。 ★
- 生後4日目から全ての仔犬に哺乳を開始します。
これは均一な標準体構に仕上げるためと人のために働く「作業犬」として育てる事です。
決して母犬任せにせず母犬にかわって優しく胸元に抱き抱えて人(繁殖者)の臭いや心臓の鼓動を伝えながら声をかけながら24時間体制で哺乳とお湯に浸した暖かいコットンボールで排便を心がけます。
- 生後5~10日位で前足の狼爪を切除します。
狼爪の切除は恐怖が刷り込まれない要注意を図り無言のまま誰がやっているか解らない様に行います。
一週間もすれば痛々しい傷口も完治します。
- この間もこの後もアイコンタクトとボディーコンタクトを基本に優しく声をかけながら一緒に遊び嬉々とした育て方を試みます。
この行為は呼ばなくとも人に寄り添う本能の開花が刷り込まれます。
- 生後20日を過ぎれば状態に合わせて離乳食を開始します。
同時に伝染病に用心しながら足元の優しい野外フィールドへ連れ出し初期のヤード訓練を開始します。
離乳食は将来の実猟犬を考えて野外フィールドでの給餌も心がけましょう。
- オーナーに仔犬を引き渡すまでに野外フィールドにおいて主人の前方を走れる様にグランドワークの開花と刷り込みを心がけます。
無論!子犬を呼ばなくとも反対に向きを変えて歩けば率先して子犬も反応して前方に回り込む協調性本能を開花させます。
この協調性本能が楽しい野外運動を通じて刷り込ませます。
- 1~5迄が繁殖者が行うべき「産箱から始まる基礎訓練」でございます。
金儲け主義で無く手抜きをしないで誠心誠意努力してこそ将来性の見える鳥猟犬界に近づけると思います。
この「産箱から始まる基礎訓練」を完璧に行った子犬をオーナーが後の訓練で上手く訓練出来ない事は訓練者(オーナー)が未熟な訓練技術によるもので繁殖者の責任ではありません。
- 子犬を引き取る前に前もって「鼻入れ儀式」用の元気で這って逃げたり飛んで逃げ去るウズラを「鼻入れ儀式」の日取りに合わせて業者と相談の上子犬1頭あたり5羽以上可能なら後々の事を考えて10羽(5羽ずつ2回の注文も可)注文しておきます。
ボブホワイト(コリンウズラ)は繊細な系統では羽音に驚いたり這い抜けられる恐れがあるので日本鶉が最適です。
銜えられる様なウズラは絶対に使わない事です。
- 繁殖者から子犬を引き取り5日~1週間程度馴れるまで家庭(室内)で余り大きな声を出さず優しく遊び新しい主人の優しさを刷り込ませます。
これも協調性を更に開花さすオーナーによる基礎訓練です。
- 因みに訓練で使用するホイッスルは100年以上前から鳥猟犬が訓練される時に慣れ親しんできた黒い大きな英国製のホイッスル(The Acme)を使います。
決してAcme以外の鹿の角で作った笛や小さい米国製のホイッスルとか高周波笛などは絶対に使わない事です。
ホイッスルを吹くのは基礎訓練中であって日本キジ猟場での狩猟は無言で息をこらし静寂に行動すべきです。
狩猟中やキジ当て中にホイッスルを吹けばその近所の日本キジは逃げ去ってしまいます。
- ホイッスルを使って数日(数回)足元の良い走りやすい優しい猟場をイメージしたフィールドを自主的に走らせ主人との協調性を意識したグランドワーク訓練を行います。
スタート前に優しく犬を抑えて立たせ落ち着かせます。
落ち着いた事を確認したら優しく送り笛のホイッスルを一吹き前方向けて走らせます。
注視力や呼び戻し等のホイするにならせながら気長く優しく訓練します。
- 前方左右を走る事が出来る様になったら「鼻入れ儀式」開始です。
前もって良く飛ぶ元気な日本ウズラを1頭の子犬に5羽用意します。
背丈以上高い竹を5本用意して背丈より上と地上から40~50㎝の位置に風の方向を把握するための弱風でも反応する吹き流しを取り付けます。
良い天候に恵まれ上昇気流の発生の少ない一定の風が吹き抜ける環境下で訓練を行います。
前もってウズラを放鳥する草むらへ用意しておいた竹を立て30メートル前後の間隔でウズラを放鳥したい場所に残りの竹を立てます。
次にその竹の近くの草むらを前足でポンと蹴り込み足でトンネルを前もって作っておきます。
そのトンネルの中へウズラの足2本を抑えて逆さ(宙ぶらりん)にして優しくポンと投げ込み5ヶ所全て放鳥したら5分以上待ちます。
目眩させての放鳥は絶対にしないで下さい。
- 子犬に負担にならない数メートルの小さなリードを付けて第1バードの風下まで誘導させ捜させます。
もし臭いを感知した様であれば口笛などでバードコールを送ります。
私は口笛でボブホワイトの鳴き声をまねて吹き鳴らします。
早立ちしてもポイントから飛び込んで飛ばしても後追いをさす事の無い様にリードを掴んで見送らせます。
一時落ち着かせ次のゲームへ向かわせます。
- ストレスのかからない適切な基礎訓練が出来ていたら遅くとも第3バードから第4バードでは必ずポイントします。
ポインとしたらGoodBoy等の褒め言葉を連呼して明るい雰囲気で褒め称えます。
次に送り笛かゴー(行け)のコマンドでウズラを飛翔させます。
リードを掴んで見送らせ何時もの調子で褒め称えます。
- 7~13迄はオーナー(子犬の所有者)の基礎訓練です。
これを終えたら翌日若しくは翌々日にヒネキジでは無く若鶏の日本キジが居るフィールドを一緒に歩いて捜す訓練を行います。
良い日本キジ犬にするためにはこの訓練をずっと続けます。
この訓練中にもしゲームに逢わなければそれを補うために前もってウズラを用意しておき捜しやすい風通しの良い場所へ気づかれない様にこっそりと足でトンネルを作ってポンと放鳥しておいて良い頃合いを見計らって捜索させます。
この様にして猟欲を開花させながら自然鳥の日本キジを求めて訓練します。
- 私はこの方法で訓練をしてきましたが全て上手くいっています。
もしこの時点で上手くいかなければ貴方は何処かで何か間違いを犯しています。
この基礎訓練に失敗して半年も8ヶ月も経過してしまえばいくら名犬でも一般の犬と何らかわらない程度の犬になってしまいます。
失敗しない様に頑張って下さい。
- さて訓練も終盤になり競技会等を試みる方はマナー訓練を行わなければなりません。
失敗しないバッキング訓練は放鳥機にゲームを入れて任意の場所へ予め設置します。
その放鳥機のゲームをポイントした犬が完全に見える位置の風上へポールを打ち込んで係留するか自動車に訓練犬を係留しておきます。
- 次にスタンチの入った完成犬を放犬して放鳥ゲームをポイントさせ静かに落ち着かせ係留した子犬にポイント犬を見させます。
このポイント犬を見る事によりバッキング本能が誘発されバッキングします。
バッキングしたら優しく褒め称えます。
この訓練を何度か行う事で本能的なバッキング本能が刷り込まれてバッキングが出来る様になります。
この様な訓練で仕上がった犬のパフォーマンスは教えた訓練と違って感動的で心癒やされます。
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UpdateDate(C)2019/08/21
